51 犬③
予定より早く栃木に到着。
急遽変更したホテルは予想以上に綺麗であり、皆眼を輝かせている。
夜は眠れそうもない。
就寝時刻になり、柏先生が見回りに来た。
「ほら、もう電気消して早く寝なさいよ。宮沢、バレー部なんだからちゃんとしなさいよ。」
柏先生は釘を刺す。
私たちが布団に入ると先生は他のグループの部屋に向かった。
クスクスという笑い声。眠れるわけがない。
笑い声が伝染する。
たまらず皆起きだす。
「梓葵ちゃん、バレー部だと柏先生怖いね。」
同じグループの綾がそう言ってくる。
ピロリロリ。
部屋の電話が鳴る。
電話に出ると、笑い声が聞こえる。
この声は美輝。
「ねえ、起きてる?みんなでそっち遊びに行っていい?」
この日私たちの部屋は大宴会場となった。