Reminiscence -追憶-

愛してはいけない人 愛されてはいけない人

68 球技大会①

十月の球技大会に向け、本格的な準備が始まる。

 

 

夏休みの部活がない期間に集まり、近隣の方に招待のチラシを委員会の生徒と顧問の先生達で配る。

近隣、先生チームと生徒で毎年球技大会の最後に試合が行われるのだ。

 

 

 

私もチラシを配りに行く予定だった。

それなのに私は風邪をひいてしまい、学校で留守番することになった。

 

その間私は一人で装飾の準備。

 

私も装飾を作るのではなくてチラシを配りに行きたかった。

 

先輩が話していた。近隣の方は優しいからチラシを渡しに行くとお菓子をご馳走してくれる。行きたかったな。

 

 

 

ガラッ。

 

 

 

 

その時城谷先生が入って来た。

 

 

 

「先生!」

 

「おう、風邪大丈夫か。」

 

「大丈夫です。なんで風邪引いたこと知ってるんですか。」

 

「ああ、宮沢さんがいなかったから本田に聞いたんだよ。」

 

「先生、チラシ配りに行かなくて大丈夫なんですか。」

 

「あんだけ人数いれば俺がいなくても大丈夫だろ。」

 

「先生。来てくれてありがとうございます。」

 

「当たり前だろ。こっちの方が面白そうだしな。一緒にやろうぜ。」

 

 

話の途中で城谷先生は急に切り出した。

 

 

「宮沢さんさ、結局進路どうした?」

 

「一応理系で出しました。英語も面白いって思えて来たけど決心できなくて。」

 

「そうか。宮沢さんは英語やって欲しいけどな。」

 

「なんでですか。」

 

「なんか本当は得意そう。」

 

「適当なこと言わないでくださいよ。」

 

「ほんとだよ。理系は俺の担当じゃないし。英文志望なら俺が教えられるのにな。」

 

 

 

一瞬心が揺らいだ。

 

 

それでもまだ数学の方が好きだ。