Reminiscence -追憶-

愛してはいけない人 愛されてはいけない人

84 メール②

二通目のメール。

 

 

 

『そこまでして俺と会おうとしなくて大丈夫だから。』

 

 

なんと返せばいいのか分からない。私は先生に無理に会おうとしてるのか。

先生は迷惑なのかも。私に会いたくないのかも。 

 

 

でも私は先生に会いたかった。先生に会いたい。

 

 

そう、そうだ。その思いを伝えよう。

 

 

 

メールでは伝わらない。そう思い、子機を手に取る。

 

 

 

「もしもし。」

 

「先生。宮沢です。いま大丈夫ですか。」

 

「おう。どうした。」

 

「私、先生に会いたいです。色々話したいです。英語もやりたいんです。だから…」

 

 

なんと言えばいいかわからず口を濁す。 

 

沈黙の時間。嫌な時間。

 

 

先生の大きなため息。

 

 

ああ、先生は私のことを迷惑だと思っていたんだ。

 

 

 

そう思ってしまった。

 

 

しかし先生の答えはそうではなかった。

 

 

 

「そっか。いや、よかったよ。俺も宮沢さんに会いたかったから。無理矢理誘ったから嫌だったかなと思ってメールしたんだ。」

 

 

 

 

なんだ。そうだったのか。

 

 

勝手に想像し、不安になっていただけだった。

 

 

 

「そうだったんですね。先生は会いたくないのかと思いましたよ。良かった……。すっごく楽しみにしています。」

 

「なんでそうなるんだよ。こっちから誘ったのに。ああ、俺も。楽しみにしているよ。」

 

「はい。じゃあまた連絡します。」

 

「おう、待ってるよ。俺もまた連絡するから。」

 

 

いつも思いを素直に言えない。でも今日だけは伝えてよかった。そう思う。