Reminiscence -追憶-

愛してはいけない人 愛されてはいけない人

4 鐘①

鐘がなる。本当の鐘だ。電子音ではない。大きな音。体に響く。

 

始まりの合図。

 

同時に先生が入ってくる。

 若い女の先生。背は高くない。和風の顔立ち。

 

「みなさんおはようございます。」

 

「おはようございます。」

まだ揃わない。バラついた声。

 

 

「入学おめでとう。一年C組の担任になった柏遥です。よろしく。」

 

凛とした姿。

 優しそうとは言えない。花より刀が横に似合う。

 

「今から入学式のリハーサルで集会堂に向かいます。式次第を持って名前順に並んで。」

 

みんなスカートが長い。

並ぶのに少し時間がかかり他のクラスに遅れをとる。

 

クラス担任がやっと分かったというのに教室でゆっくりする時間もないのだ。

 

 

肌寒い。

はじめて入る集会堂。カビ臭い。古い匂いがする。

 

そのなかでもクリーム色の椅子はひときわ新しい。まだふかふかだ。音を立てて座るものはいない。集会堂に入ったときより胸は静か。

 

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