「そうです。ゆず先生だと思ってました。すみません。」
謝るしかない。
完全に悪い印象。高校入学したばかりだというのに。
「いや謝んなくていいよ。わかんないよね。何度女に間違えられたことか。ただ教員紹介はちゃんと聞いとけよな。」
笑っている。怒っていなかった。
「梓葵って名前は俺のよりも人に読まれないだろう。どういう意味なの。」
私は説明した。ひとつひとつ。丁寧に。
最後まで先生は聞いてくれた。
「なるほど。
いい名前だな。」