44 学年旅行②
委員会で話して以来、美輝と城谷先生と私の三人でよく話すようになった。
数学の宿題を提出しに職員室へ行くと、城谷先生はパソコンに向かって苦い顔をしている。
猫背。
パソコンとにらめっこ。
私たちが近くを通ると眉間にしわをよせたままこちらを一瞥する。
しわがほぐれ先生の口元が緩んだ。
「お、どうした。」
「数学の宿題出しに来たんです。出し忘れたから。」
美輝はおちゃらけて答える。
「おいおい、ちゃんと出せよ。部活謹慎にするぞ。」
二人の応酬が始まる。
思わず笑ってしまう。
「ところで先生は何をしてたんですか。」
美輝が聞くと、城谷先生は答えた。
「学年旅行のしおり作ってるんだけど、なかなかいいデザインが思いつかなくてな。」
「デザイン?!それなら私にお任せを。」
目を輝かせ美輝はそう言う。
球技大会の装飾模型を作ってからというものデザインに関して自信を持っているらしい。
センスがいいのは確かだ。