それから私は何かと職員室に行くようになった。
ノートを提出しに行ったらパソコンとにらみ合う城谷先生を一瞥する。
部活のことで柏先生に呼ばれた時も城谷先生の席に目を向ける。
城谷先生はいなかった。
「宮沢ってさ、城谷先生のこと好きだよね。」
空気が止まった。
殴られたような感覚。
柏先生がなんと言ったのか理解できなかった。
「違います。」
そういうのが精一杯。
「いいよ隠さなくて。そんだけ見てたらみんな分かるって。」
「見てません。」
柏先生は鼻でふっと笑う。
「まあいいや。それで宮沢の成績が上がるならね。」
蝉の嫌な声。
夏休みが終わった。